囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
「まぁ、綺麗よ那寿奈さん!」

「そ、そうですか?似合いますか?」

フワッとしたプリンセスラインのドレスのスカート部分をたくし上げながら鏡に向かうと

(ぬ、布に埋もれてる気が…)

「いやいや、母さん、那寿奈さんならこっちだろ!」

今度はミニ丈のドレス
太腿まで露わになるタイプで

(ひょえー!これは布が足らない!)

お義父さま、お義母さまの意見を聞いていた彰貴さんが不機嫌そうにつぶやいた


「二人ともセンスがなさすぎ…那寿奈ならこれだろ」

彰貴さんが取り出したのはAラインのドレスでオーガンジーが幾つか重なっていて、そこに細かな白い花が乗ったデザイン

シンプルだけど適度にボリュームもあって可愛らしいものだった

着てみると少し背が伸びたように縦のラインも強調されていてスッキリして見えた

「あ、可愛い…」

「いいわね」

「うん、いいね」

私もお義父さまお義母さまも思わず呟いた

「那寿奈のカラダを一番知ってるのはオレですから」

フフンと顎を上げた彰貴さんに恥ずかしくて下を向いてしまう

(言い方が卑猥です!!)

「はいはい、さ、じゃあドレスは決まりね!このタイプで採寸したサイズで作ってね?次は…」

お義母さまが張り切ってブライダルの担当者や秘書に指示して…あれこれ一緒に選んでくれる


彰貴さんの辻堂ホテルズ社長就任を機に、二人の結婚式をする事になった

最近体調が良いお義母さまが彰貴さんと争うようにかなり張り切って手伝ってくれ

一生に一度何だからと私を甘やし

「可愛い娘なんだから」

といつも言ってくれるのが嬉しい


彰貴さんは社長就任に向けて毎日忙しく働いていて、帰りも遅い日が増えた

ただ、朝はなるべく一緒に食べたいとそこは変わらずに居たのでそこは私も張り切って作っていた

変化したのは私の働き方もそうで、私はレストランの仕事を昼間だけにして
辻堂本家で花嫁修業も兼ねてお義母さまの事を手伝い始めたのだ

「そんなの必要ないよ」

とは言われたけれど、お義母さまから色々教わりたかったのだ

しきたりや、一族の伝統など…

「でも、私…辻堂の一員になるのですから!」

そう伝えるとお義母さまがとても嬉しそうにした

「沢山お話しましょうね、これから本当の家族になるのだから」

そうやって家族になって行けることに喜びを感じていた

(お母さん…お父さん、私頑張るからね?)


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