囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
帰宅してからルームウェアのまま
ソファーで寄り添っていた

ゆっくり二人で過ごせる貴重な時間…

彰貴さんは先程から私を抱きつくような体勢でスリスリとあちこちを触るから擽ったい

「しかし本当にこの服はうさぎみたいだな、すごくふわふわで可愛い那寿奈にピッタリだ…」

うさぎ…と言われてふと以前に見た夢を思い出した

「あの…聞いても良いですか?」

「うん…何?」

彰貴さんは私を膝に抱き上げた
どうも抱っこの形が好きなようだ

小柄な私は彰貴さんの身体にすっぽりと収まる

「あの…彰貴さん、抱いて寝ていたぬいぐるみってうさぎですか?」

あの大きな目、整った顔立ち…あの男の子は彰貴さんではないのだろうか?

意識は私だったけれどあの男の子を
『おにいちゃん』と言っていたのは…幼い私ではなかったか?

そう思ったのだ

「ああ、そうだよ…可愛い小さな女の子から貰ったうさぎのぬいぐるみだった」

(やっぱり…)

「もしかして、思い出した?」

「え?」

彰貴さんはふわりと優しく微笑んで私の頭を撫でる

「那寿奈でしょ?オレにうさぎをくれたのは…オレ気付いてたよ」

「う、そ…」

「嘘じゃない…名前は聞いてなかったけど……手の感触は同じだった…何でかな成長してるはずだから本当は違うんだろうけど…流れてくる優しさが同じだったから同居しだした辺りで気づいてたよ」

まさかそんなことがあるだろうか

けれど…私も強引に引き込まれながらも
彰貴さんの傍が居心地が良かったのは

「きっと運命なんだよ、那寿奈はオレに囚われの姫になるって…あの時から決まってたんだろうね?」

「そ、そんな!」

だとしたらちょっと素敵なお伽噺じゃないですか!

「今夜もたっぷり…囚われてみる?お姫様…」

色気が溢れ出てる彰貴さんの瞳に絡みとられ
差し出された長い指の綺麗な手が私を誘う

よく考えられずに
彰貴さんの甘い言葉にこくんと首を縦にして頷いてしまうのは

囚われの姫…だから?

(って恥ずかし過ぎますけど!!)

「はぁぁ…抱き心地サイコー」

「あ、いや、あの…ですから抱き枕には最適な体型で」

「違うよ、甘くて美味しそうなんだもん…大好きだ」

ぎゅっと抱きしめられたから私もそっと背中に手を回して

「あの……召し上がれ?」

冗談で呟けば
彰貴さんが噛み付くようなキスを落とした

「…んん…っ…」

「また君はそうやってオレを煽る……そんな可愛い君は
一生ここでオレに囚われて居なさいね」

(あーもうこの人には敵いません…)

最高の甘い囚われ生活です

「……はい…」

そのまま甘い時間が始まる……














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