思い出す日
数回目と1回目
別れた日。最初の感情は何もない。
自分はどんな時も何かの真似をして、たくさんの仮面をかぶっているんじゃないとそんな気持ちになった。
足取りは遅く、気は重いが、振る舞おうと思えば楽しく振る舞える。
これは変わらなかった。
人前で自分の感情を露わにするのが怖いのか、本当に何も感じていないのかわからない。
人を失うという事は、その後の幸せな未来を失う事なのか楽しかった過去を失う事なのか、はたまた今を失う事なのだろうか。
悲しいという気持ちはあるが、これはどこを向いているのだろう。
別れてしまった事で何かを失ったからか、大切に思っていた人を傷つけてしまったからか、自分の欲を満たせなくなったからか、世間から冷ややかな目で見られるからか。
いや、全部なのかもしれない。
こんなにたくさんの感情を自分は1つの器に入れる事が出来ない。
何かがこぼれ落ちて消える。

今思えば別れの回数が人とは違う。
積み重ねで感じる部分はすり減ってしまったのかもしれない。
中学一年の頃、帰りの電車で自分から別れを告げた。
メールだった。
メールを送ったあとに悲しい気持ちになったのかもしれない。
帰りの自転車で涙ぐんだのを覚えている。
でもなんで別れたんだろう。次の人を見つけてしまっていたからだろうか。
最初はどんな気持ちだっただろう。
思い出せない。
今思うとその時からだった、自分が悲しいという事を空の上から見てしまう。
まるで自分のことではないかのように。

すぐに違う大切な人が出来た。
迷わず、その人を選んだ。
しかし、もうわかるだろう。
自分の事を一番てないと気がついてしまった時に終わりの鐘がなった。

繰り返しだった。
今も。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop