泣き虫な彼女【短編】
「言わなきゃ怒るよ?そんなに俺に言いたくない?」
「……うっ……言いたくないんじゃないっ……ううっ…言ったら…海斗怒るもん!」
右手で目を擦る華利奈の動きを止める。
「…怒らないから言ってよ?」
「…本当に?…グスッ……怒らない?」
俺は、ゆっくり頷いた。
「………キス………された……。」
は????
キス!?
「えっはっ?誰に……?」
「望くんに……。。」
望?!って華利奈に告ったっていうヤツだよな?
「はぁー…んだよ、誰だし望ってヤツ…」
「ごめんね?あたしが悪いんだから…」
そう言って俺に抱きつく華利奈。
「…ごめんね?」
ひたすら俺の腕の中でずっと「ごめんね?」って言っていた。
「もういいよ……?だから、顔上げて?」
華利奈は、ゆっくり顔を上げてくれた。
「だから、キスされたくなかったのか?」
「うん。」
華利奈の言葉につい笑ってしまった。
だって笑えるじゃん?