リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。
*
「ふぁあぁ……」
「ちょっとリオくん、すごいあくび。
寝不足?」
「そーかも」
登校中。
駅までの道を歩いているとき、リオくんは自転車を押しながら、ぼんやりと口に手をあてた。
私とリオくんは、いつも近くの駅まで一緒に行っている。
どうして駅までなのかというと、高校が別々だから。
私は地元の進学校、リオくんは隣の県の私立高校に通っている。
本当は同じ高校に通う予定だったんだけど、リオくんはバスケの特待生に選ばれて、その私立校に行くことになった。
今まで家でも学校でもずっと一緒だったから、違う高校に行くと聞いたときは、ちょっと寂しかったんだ。
でも前に友達に頼まれて、リオくんの好きな人を聞いたことがあって……。