リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。



「もー!

だから朝起きれなくなるんだよ!」



起こすのすごく大変だったんだから!



私が睨むと、リオくんは困ったように笑いながら、「ごめん」と片手を立てた。



「あはっ、そーだね。ゴメン。

でも、もうすぐできそうなんだ」



「何が?」



「ダンク」



「うそっ!?

すごいね!?」



そう言って、ハッと口に手を当てた。



しまった、つい……。



私、怒ってたはずなのに。



「でしょー?

まーでも、あとちょっと届かないんだけどね」



得意気に笑うリオくんを見たら、なんだか怒る気すらなくなってしまった。



それに、ほんとにすごいと思ってしまったから。



だってリオくんがバスケ始めたのは、中学2年生だもん。


< 13 / 74 >

この作品をシェア

pagetop