リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。
もちろん、リオくんはそんな風に思ってないだろうし、私たちの関係は昔からひとつも変わってない。
仲良しの幼なじみのまま。
だから私の考えすぎなのかもしれないけど…。
「あ、青になった。
じゃあオレ行くね」
信号が変わると、リオくん押していた自転車にまたがって、ペダルをこぎ出す。
「あ、うん、
行ってらっしゃいっ」
前に出た背中に慌てて声をかけると、リオくんは自転車から振り返って。
「うん、行ってきます」
天使のような笑顔でそう言うと、瞬く間に駅の裏の方に走って行ってしまった。
もう、見えなくなっちゃった…。