リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。
もしかしなくても、私を気遣ってくれてるんだろうなぁ。
先輩は塾でもトップクラスの成績だし、この単元が模試の範囲だとしても、わざわざ私に合わせて勉強する必要ないもん。
でも先輩がそう言ってくれるなら、甘えてもいいの…かな?
「…ありがとうございます、
じゃあ、お願いします」
「ふ、やっと素直になったな。
それでいいよ」
先輩は参考書から一瞬こちらに視線を移すと、フッと笑った。
…どきん。
なんて言うんだろう。
うまく言葉にできないんだけど、先輩のこういう一つ一つの仕草や表情が、やっぱりカッコイイって思う…。