リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。
*
*
*
「……あれ?」
午後9時。
塾が終わって、電車で駅まで戻ると、改札の外に見覚えのある姿があった。
あの紺のブレザーの制服は西條高校の…、
「リオくん!」
「あっ、ナナ。
おかえり~」
私がかけよると、リオくんは手をひらひらと振りながら、ニコッと笑った。
「今日も待っててくれたの?」
「うん。オレも部活終わっていま帰ってきたとこだから」
「そうなんだー。
リオくん部活おつかれさま」
「ありがとー。
てか、あれ……ナナ?」
リオくんが急に不思議そうな顔で、じっと見下ろしてくる。
「なんかあった?
そんなうれしそーな顔して」