リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。









「……あれ?」



午後9時。



塾が終わって、電車で駅まで戻ると、改札の外に見覚えのある姿があった。



あの紺のブレザーの制服は西條高校の…、



「リオくん!」



「あっ、ナナ。

おかえり~」



私がかけよると、リオくんは手をひらひらと振りながら、ニコッと笑った。




「今日も待っててくれたの?」



「うん。オレも部活終わっていま帰ってきたとこだから」



「そうなんだー。

リオくん部活おつかれさま」



「ありがとー。

てか、あれ……ナナ?」



リオくんが急に不思議そうな顔で、じっと見下ろしてくる。



「なんかあった?

そんなうれしそーな顔して」


< 34 / 74 >

この作品をシェア

pagetop