リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。



「あー。ぶつかるって?

だいじょうぶだよ、こうすればー、」



するとリオくんは自転車の車輪を斜めにして、ギリギリで電柱をかわした。



でもなんか危なっかしくて、思わずはぁ…とため息が零れた。



恐いもの知らずというか…リオくんのこういうとこが、やっぱり子供だなって思う。



リオくんは相変わらず楽しそうに星空を見上げたまま、ある方向を指さして。




「ねぇねぇっ、あの星座なんて言うんだっけ。

四角の中に星が縦にみっつあるやつ」



「オリオン座、だけど。

ちょっとリオくん、また前……」



気づけば、またリオくんは電柱に向かって歩いていて、思わず注意しようとした、そのときだった。



「ナナ、危ない!!!!」


< 37 / 74 >

この作品をシェア

pagetop