リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。



えっー!?!?



突然、肩を掴まれると、グイッとリオくんのほうに引っ張られた。



すると後ろから、ライトの明かりがギラッと視界を眩ませて。



ブゥーーン。



ついさっきまで私がいたところを、車が速いスピード通り過ぎて行った。



「…っ、」



ウソ…


全然気づかなかった。



びっくりして呆然と立ち尽くしていると、リオくんが私のほうを覗き込んで。



「…危なかったね」



そう言って、目を細めながら見下ろしてくるリオくんの顔が、すぐ目の前にあって。



「ちゃんと見てないのはナナのほうかもしれないよ」



初めて…、自分がリオくんに抱き寄せられてるということに気がついた。

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