リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。
「んー…わかった……。
起きる……」
「ほんとに!?」
良かったぁ……。
これでなんとか遅刻しないで済むよ。
ホッとため息をついたその時だった。
「起きるからさ……、」
リオくんは乱れた前髪から、少し意地悪そうな瞳をのぞかせて。
「ギュッてしてよ、ナナ。
そしたら起きる」
「なっ!?!?」
思わず叫んでしまった。
リオくん!?!?
いきなり何言ってるの!?
てかそれどういう意味!?
ギュッてしてなんて……。
戸惑ってしまう。
さっきまでの寝ぼけたリオくんから、目つきとか、表情とか、いきなり男の子っぽくなるんだもん……。