リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。
「こらリオくん!机に寝ないの!
あとちょっとで終わるから!」
「うぅー……」
私はベランダに出て、参考書を片手に、そんなリオくんを叱咤激励していた。
今日はリオくんも、数学の課題がたくさん出ているみたい。
私も一人じゃ全然解けなくて、青山先輩に教えてもらったから、リオくんの気持ちもすごいわかる。
けど、ここは何としてでもやらせなきゃいけない。
リオくんが留年なんてしたら、本気で笑えないもん。
「今日はあと3ページだけだから!
もうちょっとだけ頑張ろうよ」
「えー、もう眠いよー」
机に突っ伏したまま文句をたれるリオくんに、必死に声をかける。
「大丈夫。
ちゃんとやればすぐ終わるから!ね?」