リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。
しばらくそうやって声をかけ続けていると、リオくんはむくりと起き上がって。
「う~…わかった、がんばる。
で、次は…?」
眠そうに目をこすりながら、もう片方の手でシャーペンを持った。
「うん、えらいよリオくん!
それでここはね…!」
参考書を見ながら、リオくんに1から口で説明した。
ちょうどリオくんの机は窓側にあるから、私がベランダで教えながら、リオくんが机で書くことができる。
こういうとき、部屋が隣同士にあって良かったなって思うんだ。
*
「…あ、そっか!そういうことか!
できたよナナ!」
「うん、正解だよ。
おつかれさま、リオくん」
リオくんは元々頭は良いほうだから、本気でやれば、いつもあっという間に終わってしまう。