リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。



私が気づいた瞬間、リオくんはクスッと笑った。



わぁあっ、リオくんってばいつの間に!



「ご、ごめんッ!違うの!

ぼーっとしてただけ」



驚いて早口でそう答えると、



「そお?

なんか珍しーね。ナナがそゆ風になるの」



なんて言われてしまって…。



「そうかも。

塾だったし疲れてるのかな、ははっ」



思わず笑って誤魔化してしまった。



だけど鼓動はずっと早いままで。



言えないよ。リオくんのこと考えてたなんて…。



「大丈夫?

そろそろ寝よっか?」



リオくんが心配そうにのぞき込んでくる。



「う、うん、そうしようかな」



だけど私は恥ずかしくて、それどころじゃなくて。



「じゃあごめんリオくん、

おやすみ」


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