リオくんとの距離は、ベランダから10センチ。









「行ってきます!」



お母さんにあいさつして家を出ると、玄関の前にすでにリオくんがしゃがんでいて。



「おはようナナ。

起こしてくれてありがと」



ハチ(私の家で飼っている柴犬♂)の頭をなでながら、こちらを見上げ、ニコッと笑った。



「あ、おはよ……」



つられて私も挨拶したけど、すぐにリオくんの髪が目に留まった。



ちょ、リオくん!寝癖直ってないし!



「ちょっとリオくん、そのまましゃがんでで!」



「えっ、あ……なに!?」



「動いちゃダメ!」



「あ、うん……」



立ち上がろうとするリオくんの肩を押さえると、カバンから櫛を取り出して、リオくんの髪を解かした。


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