偽物の気持ち
━━━ガラッ。
目の前に成の後ろ姿が見えた。
その後ろから顔をヒョイッとのぞかせた木下さんが現れた。
木下さんは、一瞬黒い笑みを作ったが、ぱっと表情を変えた。
「貴方、誰だっけ?」
私のことを忘れたフリをしていた。
だけど、忘れているはずがない。
私にあんなことをして、忘れたなんて言わせたくなかった。
私は震える声で話しかけた。
「木下さんに話があるの。」
間に居る成は何がなんだか分からず困っていた。
だけど関係ない。話を続けた。