偽物の気持ち





「ゆりにはわかんねーよ。あの人の魅力。」


「は?」


「あの人は、周りにも自分にも嘘ついてるんだ。その嘘を抱えるのは相当辛いと思う。だから、今日だって……」


そこで黙って拳を握りしめている成。

月乃さんは、黙っている。


「今日、お前が春をビンタしたあと俺酷いこと言ったんだ。そして、過呼吸で保健室に運ばれた。お前は知らないだろうけど春は過去になにかあったんだよ。それがわかんねーお前に春を悪く言う資格なんてないんだよ。」


月乃さんは、驚いて、何も言えずに屋上から戻ってきた。

月乃さんと目があった。

近寄ってきたので、私はまたビンタされるのではないかとおもい目を瞑った。




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