偽物の気持ち
結局眠れずに学校へ向かった。
いつもより、早く登校したので生徒もあまり居なかった。
すると、朝練のはずの徹が教室を横切った。
私は咄嗟に声をかけていた。
「徹!」
「えっ!春!?おはよ。早いね。」
「うん。早く起きたんだ。あのさ…」
そう言いかけて、私は口を閉じた。
徹に聞いてどうするんだろう。
徹は私とあの子の間に何があったかなんて知らないんだ。
私の続きの言葉を待っている徹に私はなんでもないと言って、「がんばってね。」とだけ言った。