誓いのキスを何度でも
誠太郎の観察日記。その1。
3月の終わり。夜22時30分。
庭に咲く桜の花も満開に近い。
家の前に車の止まった音に
慌てて玄関から飛び出すと、手を広げて
「ただいま。セイちゃん。」とギュッと抱きしめる果歩(かほ)の笑顔が嬉しいけれど、
「遅い。」と文句をいうと、
「ごめん。ヨウコさんと仲良くしてた?」
と僕の頭を撫で回し、ただいまのキスを頬にしてくれる。
ちょっと迷惑な酔っ払い。
ヨウコさんは果歩の母親だ。
40代の終わりで、不本意ながらも孫が出来てしまい、
おばあちゃんと呼ぶと機嫌が悪いので、僕たちはヨウコさんと呼んでいる。
「あたりまえじゃん。酒臭いぞ。果歩」と顔をしかめると、
「誠太郎(せいたろう)くん。こんばんは。
今日は小児科の歓送迎会だから、大目に見てやって。」
と果歩をタクシーで送ってきた研修医を終えて小児科医になりたて27歳。加藤が僕に声をかけてくる。
コイツは果歩にに好意を寄せているので、僕に気にいられようとなにかと接触してくる。
庭に咲く桜の花も満開に近い。
家の前に車の止まった音に
慌てて玄関から飛び出すと、手を広げて
「ただいま。セイちゃん。」とギュッと抱きしめる果歩(かほ)の笑顔が嬉しいけれど、
「遅い。」と文句をいうと、
「ごめん。ヨウコさんと仲良くしてた?」
と僕の頭を撫で回し、ただいまのキスを頬にしてくれる。
ちょっと迷惑な酔っ払い。
ヨウコさんは果歩の母親だ。
40代の終わりで、不本意ながらも孫が出来てしまい、
おばあちゃんと呼ぶと機嫌が悪いので、僕たちはヨウコさんと呼んでいる。
「あたりまえじゃん。酒臭いぞ。果歩」と顔をしかめると、
「誠太郎(せいたろう)くん。こんばんは。
今日は小児科の歓送迎会だから、大目に見てやって。」
と果歩をタクシーで送ってきた研修医を終えて小児科医になりたて27歳。加藤が僕に声をかけてくる。
コイツは果歩にに好意を寄せているので、僕に気にいられようとなにかと接触してくる。
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