誓いのキスを何度でも
私と誠一は驚いて誠太郎の顔を見る。

「…ダメだよ。…
うん。
誠太郎に…酷いことを言うかもしれないし…」

と誠一が誠太郎の頭を撫でて、車のドアを開ける。

「なんでだめなの?」

と、誠太郎が誠一に食い下がる。

「うーん。
誠太郎、クラスに仲の悪い子っている?」

「いない」

「じゃあ、喧嘩もしない?」

「喧嘩しても、お互い『ごめんなさい』って言って仲直りする」

「…」

誠一は誠太郎の言葉にうーむと考えこむ。
いつまでも喧嘩をし続ける親子の説明は難しそうだ。

…小学1年生の喧嘩は健全だね。
ちゃんと仲直りできる。

私は助手席に座りながら、少しため息をつく。



「なんで?
もう、ふたりは大人でしょう。
なんで、好きな人と結婚できないの?」

と誠太郎は不機嫌な顔だ。

…誠太郎の正論が耳に痛い。


誠一も大きなため息をついて、車を発進させた。
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