誓いのキスを何度でも
翌週の日曜日。

僕はサクちゃんと果歩の車でサクちゃんのお父さんの入院している病院に行った。

サクちゃんのお父さんは1番上の特別室に入院していて、エレベーターで上まで上がっていく間に、会う人がみんなサクちゃんに挨拶をしているみたいだ。

みんな知ってる人？なんで？って聞いたら、
ここの病院はサクちゃんのお父さんが院長で、サクちゃんは副院長だったから。と言っていた。

もしかして、サクちゃんってお金持ち？って聞いたら、俺じゃなくて、親父が金持ちなんだ。
と言って、笑った。

へえ、そうなんだ。

特別室はものすごく広いらしく、
ノックをすると、秘書の木下さんがのドアを開けて、

「いらっしゃい」とほほえみかけてくれた。

僕がサクちゃんと手を繋いで特別室に入ると、部屋の奥の広い病室でベッドにポツリと横になっている痩せているサクちゃんのお父さんが見えた。
点滴に酸素マスク。モニターの機械が静かに点滅している。

目を閉じていた男の人は、僕等がベッドの横に立つと、薄く目を開けた。


「以前、話した柏木さんの子供です。」とサクちゃんが僕に微笑む。

「なんで、連れてきた？」と不機嫌な顔だ。

「俺が結婚したら、孫になるからね。」

「反対だと言っている」と言ったので、僕は

「サクちゃんとお母さんはお互いに好きだと思ってるのに、どうして反対なんですか？」

と思わず聞くと、サクちゃんのお父さんは僕の顔を驚いた顔でみつめる。

また？
なんだか、サクちゃんの家族は僕の顔を見てみんなビックリするなあ、と思いながら、大人しく見られておく。




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