誓いのキスを何度でも
「おまえのこどもか?!」

とお父さんはサクちゃんに聞きている。

「柏木さんの子どもです。
誠太郎の父親は亡くなったと言われているそうです。」

とそのまま、ふたりとも睨みあって黙っているので…



「こんにちは。柏木誠太郎です。」と僕が挨拶をすると、



「こんな事が…」

と僕の顔を見てつぶやいているけど、僕は気にしないで、言いたかった事を言っておこうと思う。

「僕と果歩とサクちゃんは家族になりたいのに、サクちゃんのお父さんはなんで反対なんですか?
オトナになったら、好きな人と結婚するんじゃないの?」

と聞いてもサクちゃんのお父さんは僕を見ているだけだ。

「誠太郎、俺と果歩はオトナだから、自由に結婚出来るんだよ。
だから、心配しなくて大丈夫。
…それに…今日でここに来るのは終わりにする。俺は果歩と誠太郎の家族になって、あの町で外科医として暮らす。
桜花グループの後継者が決まるまで相談には乗るけど、それ以上のことはしない。
もう、決めたんだ。
だから…一度くらい孫に会ってもいいだろう」

と静かに言って僕の手を引き、ベッドを離れる。
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