誓いのキスを何度でも
「待て、誠一、その子はおまえのこどもか?」

「果歩が生んだこどもです。
これから僕は誠太郎の父親になって3人で暮らします。」

と、真面目な声で言って、ベッドから離れていく。



「…誠太郎くん!
もう一度、顔を見せてくれないか」

とサクちゃんのお父さんがベッドからヨロヨロ起き上がったので、
僕は立ち止まり、もう一度ベッドのそばにサクちゃんの手を引いて戻ると


「孫…と…いうことか?」とお父さんはサクちゃんの顔を見上げる。

「俺が結婚したら、子どもは孫になるんじゃないか?」

「…柏木さんが…急におまえと別れる決心をしたのは…そのせいか?」

「…たぶん。
誠太郎を守る気持ちが強かったんだと思う。」

「…結婚はしなかったのか…」

「俺と同じだ」

「…そうか…
…誠太郎君は…おじいちゃんと呼んでくれるか?」

「果歩のところは『タケルさん』と『ヨウコさん』だよ」

と教えると、

「…そうか…
私もなんて呼ばれたいか…考えておこう。
また、ここにきてくれるか?」

「僕はサッカーがなければいいけど…」

とサクちゃんの顔をみあげると、


「俺もそれでいいよ」

とサクちゃん呟くように言って、僕の頭を撫でて、微笑んだ。
< 127 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop