誓いのキスを何度でも
区役所で滞りなく書類を出し、私達は夫婦になった。

少し照れくさく、顔を見合わせ、腕を組んで役所を後にする。

「奥さん、買い物して帰る?」と誠一が私に聞く、

「本当は結婚記念にお食事したいけど…
荷物を片付けないといけないから、
買い物して新居に行きましょうか?旦那様。」

とふたりでクスクス笑ったりして、
新婚気分を少し味わい、
私達は、ワザと身体をぶつけあったりしてじゃれあい車に乗りこんで、笑い声立てた。

スーパーに寄ってから、誠一のマンションに向かう。

「誠一、どこいくの?」

私が道がちがうと気づいて聞くと、

「うーん。新居。」

「え?」

「あの家、セキュリティが問題だって親父が気に入らなくてさ…
新しい、家にした。」

と、頭をかいて、笑い、

「親父は誠太郎にメロメロでさ、
今まで苦労させたから、俺が当直でいないときに何かあったらどうするってうるさく言ってきて、セキュリティが万全と思われるマンションを親父が俺達のために買ったんだ。
まあ、果歩の名義になるんだけど…」

何言ってるの?

「マンション…ちがうところなの?」

「もう、着くよ」

と言いながらゆっくり入って行く駐車場は

…知っている場所だ。

「…ナナコ先輩の住んでいるところ?」

「ごめん。なかなか言い出せなかった。
やっぱり、親の経済力を使ってるって…
呆れられそうで…
でも、セキュリティの事を考えらと悪くないかなって乗せられてしまいました。
うん。
尾崎先生の部屋の下の階だよ。
偶然だけど、ここが良いってすぐに思った。
申し訳ないけど、前の部屋は解約しました。
ここに住むしかないんだ。
もう、買っちゃったし…」

と言いながら、車を駐車し、私をエスコートして車から降りた。




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