誓いのキスを何度でも
「沙也加さん、決心してくださいましたか?」

父のもう1人の秘書。
本当は兄の秘書になる予定だった木下さんが私の顔を覗き込む。

彫りが深く目鼻立ちのクッキリした
結構いいオトコなのでドキッとするけど、
そんな事で決心なんてできないでしょ!

「なんで、私がこのグループを継ぐ事になるんですか?」

「お父様はあなたに然(しか)るべき男性と結婚していただき、
この桜花グループを継いでいただきたいと…」

「だからあ、なんでそうなるの?
私は養女にもなっていないんだよ!
…それに、荷が重すぎるよ。
お兄ちゃんみたいに優秀じゃないんだから…」


「もちろん、養子縁組の準備は出来ています。沙也加さんに、うんと言っていただけるなら…
代表はすぐに養女にされるおつもりです。
…きっと代表はあなたが桜庭の家に縛られないようにと
…結婚された当初は考えておられたとおもいます。
ただ、あなたは医師になって、ここにいる。
それは、この桜花グループを守っていくつもりがあったからではありませんか?」

「お見合いして、結婚するのなんて嫌!」

「お会いしてから、考えても良いのではないのですか?
それとも、もう、決まった方でもおいでですか?
その方がもし医師なら…とても望ましい…」

「そんな人はいません!!」

「では、お見合いを…」

「絶対イヤ!!」





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