誓いのキスを何度でも
「へー。見合い?
あいかわらず、わかりやすい親だな。
俺は桜花グループは解散させればいい、って何度も言っているのに…」

兄は潰れたアボカドをつまみ上げ、少し不思議そうに睨んでから口にいれ、にこにことに咀嚼している。

果歩さんは少しだけ口もとが笑っている。
(単純な舌。と果歩さんはいつも兄の事を笑う)

兄は果歩さんの作るものはなんでも美味しいって事だと思う。


「で、しょー!!」

と私は鼻息を荒くする。

「うーん。
俺は果歩が好きだったから、見合いは断ったけどさ、
誰か好きな人でもいる?」

「…いないけど…」

「…それだと一度やめさせても、諦めなさそうだよなあ。あの人達結構しつこいから…」

「…」

そうなの。
しつこいのよー!
一度断っても、何度も言うのよ。

特に!
うちの母はしつこいのよ。

医師になることだって、
父と結婚した途端、
あなたは医師になるのよ。
とか
日々言い聞かせ、
私を勉強漬けの生活にしていた。

部活も家事もなにもしてこなかった。

昔は特にやりたい事もなかったから、
母の言葉に従っていたけど…

今度はそうはいかないんだから!!




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