誓いのキスを何度でも
「沙也加ちゃんは、どんな人が好きなのかなあ?」

と果歩さんに聞かれ、私はハタと考える。
今まで恥ずかしい事に男の人と付き合った事なんてない。
えー?
どんなひと?


「お父さんや、お兄ちゃんみたいに頑固じゃないひとー。
でも、やっぱり年上かなあ…
私が落ち込んでいる時に慰めてくれて
大丈夫って言ってくれるひと」

と言いながら
木下さんの柔らかい笑顔を思いだす。

「…アメを
くれる人が好きかも…」

とつい、言ってしまい、

「あめ?…なんだそりゃ?…」

と兄が脱力する。


セイちゃんが突然

「僕も好き!
この間公園で転んだ時、『元気の出る飴』って言って木下さんが僕にアメをくれた。
木下さんって優しいよね!」

とにこにこ私の顔を見る。

え?

ぐあーと顔が赤くなるのがわかる。

…木下さんってば、セイちゃんにもアメをあげてたんだ?!

「い、いやっ、木下さんってわけじゃ…」

と私が慌てて、餃子を取り皿に取ると


「…なるほどねえ」

と果歩さんがクスクス笑い、

「ちっ、違いますよ!!」

「…ふーん」

とお兄ちゃんは珍しいものを見るように私をみる。


「ちがうって…」

と私は言いながら、

私って

木下さんの事

どう思ってるんだろう?

とつい、考えていた。



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