誓いのキスを何度でも
「誠一、私、アイロンをかけてくるわ。木下さん、ごゆっくり」

と、キッチンで果歩さんが言って、私のいるパントリーに入ってきた。
コーヒーを手に2つ持っている。

そうっと私の前に置いて、微笑む。

「木下さん突然やってきたの。少し酔っているのかもしれない。
…きっと本音が聞けると思うわ
私が隣にいるってわかっている時にする話だから…聞こえちゃってもいいでしょ」

とクスッと笑う。


「で、なんか相談?」とお兄ちゃんが聞いている。

「私は何をしているんだろうって…
今日はちょっと…思ったよ。
いくら父達に言われたからって、
沙也加ちゃんまでまきこんじゃあ…ダメだよな。」

とため息をついている。

「兄さんがあのグループを守りたいって思ってるのはわかってるよ。」

兄さん?…て言った?

木下さんって…

「でもさあ、兄さんが継げばいいんじゃない?」

「何を言ってるんだ?
わたしは桜庭じゃないし、
医療グループの代表なんだから医師じゃないとダメだろう」


「兄さんはとっくにいい方法を思いついてるよね。
沙也加と結婚して桜庭を継げばいい。
親父たちには何度も言われてるんじゃないか?」

「…沙也加ちゃんと私じゃあ年が違いすぎるし、釣り合いが取れない」

「だから見合い?」

「やっぱり、…沙也加ちゃん困って、誠一に相談したんだな…」

「まあねえ」







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