誓いのキスを何度でも
私達の勤める病院から私鉄で10分程のターミナル駅に直結するマンションがシンさんの住処だ。

広い2L D Kの夜景の見える部屋。

私は2年ほど前からこの部屋に招かれるようになっていた。


まあ、シンさんが私の勤務を見てから合わせて休みをとってくれていて

ヨウコさんが誠太郎を預かってくれる夜勤前
(ヨウコさんのお誘いはいつも突然だ。まあ、父がヒマな時って感じ。)
の短い時間に抱き合うことが多かったので、

ホテルを探す手間をはぶくためって感じかな。

最初の3年ぐらいはシンさんの取ったホテルの部屋に私が行っていたけど…

恋人ってわけじゃないから、
1ヶ月に1度か2ヶ月に1度くらい。
3時間から半日位ただ抱き合って過ごす。


パートタイムラバーって言葉が昔あったと思うけど

そんな言葉がぴったりの関係だと思う。




シンさんの部屋のインターフォンを鳴らすと、

「パスタ用意してる。鍵を開けておくから勝手に入って。」と返事があった。

マンションは贅沢な造りのタワーマンションだ。
21階まで透明なエレベーターで上がる。

24歳でデキ婚で学生結婚後、5年ほどで離婚してから独身のままのシンさんは
一人娘の養育費を払っていても生活に余裕がある。
確か高校生のお嬢さんだ。
もう、昔の奥様は再婚しているけれど…
18歳までは養育費を払わないとねえ。
まあ、その後大学に行くなら…大学の費用くらい用意できるし…とのんびり話していたと思う。
それって昔の奥様に利用されていませんか?って思ったけど…

結婚生活を続ける間も、離婚を決めたときにもかなりこじれたらしく、
ひとりにしてくれるならそれでいい。と思っているらしい。

それ以来の独身主義。

そんな風には見えないけれど
かなり心にダメージを受けているのかもしれない…










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