誓いのキスを何度でも
私は思わず立ち上がってキッチンに入る。

お兄ちゃんと木下さんが物音を聞いて私を見る。


木下さんの驚いた顔。

「い、今の話きいてましたか?」

と慌てた様子で私に聞く。

私は赤くなって頷く。


「き、木下さん!」

「はい!」

と木下さんが慌ててガタンっと立ち上がる。

なんて言ったらいいの?


「…あの…『勇気の出るアメ』持っていますか?」


「…はい」

とガサガサとスーツの上着のポケットを探り、いつものようにミルクのアメを取り出す。

私が手を伸ばすと、木下さんはアメの袋をびりっと破って自分の口に入れ、

「…年が離れているし…生きてきた環境が違うのは分かっています。
でも…私はいつも一生懸命な沙也加さんを見るたびに…
自分がそばにいて頭を撫でてあげたいと…
…秘書としてでも、ずっと支えていられたら…とそう思っていました」

私が掌をみせると、ポケットに手を入れそっとアメを置いてくれる。

私も、袋を破ってアメを口にいれ、

「政略結婚は嫌いですか?
…私はずっと、木下さんにアメをもらいたいです」



「沙也加さん、私と政略結婚してください」

と木下さんは私をまっすぐに見る。

「はい」

と言って私は微笑んだ。


〜〜おわり〜〜





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