誓いのキスを何度でも
柏木 誠太郎 (かしわぎ せいたろう)6歳。
この4月から小学校に通うことになっている。
僕を抱きしめたまま、髪を撫でている酔っ払いのオンナは僕の母親。
柏木 果歩28歳。小児科看護師。
今月いっぱいで東野記念病院小児科病棟勤務からこの4月に小児科外来に異動になる。
僕が保育園から小学校に上がるため、病院に併設している夜間保育園が使えなくなり、
シングルマザーの果歩は夜勤のない外来に異動となった。
ヨウコさんが夜勤の時に泊まっていい。とは言ってくれたが、
ここは僕たちの住む病院に近いマンションから車で30分以上かかるため、
平日にも夜勤はあるので僕の初めての小学校生活に負担になるからと
今回の異動で外来主任看護師に出世して、ちょっぴり基本給が上がるし、
公立の小学校は保育園の料金より随分と安くなるから…
給料が少し減っても大丈夫。と果歩は微笑んで外来勤務を希望した。
大きくなったセイちゃんに感謝。とガッツポーズを作った。
あいかわらず、根性だけはある。
今のセイちゃんとは今しか会えないから沢山一緒にいたいんだ。と大きな笑顔で俺を抱きしめる果歩。
僕の大切なたった1人の家族。
いや、最初は結婚せずにひとりで子どもを育てる事に反対だった
タケルさんとヨウコさん(果歩の両親)も今では僕に大甘な僕の大切な家族だ。
僕の父親は俺が生まれる前に死んだ。と果歩に教えられているけど、
本当は僕の父親に「捨てられた」という事を親戚のオバサンが声高に話しているのを聞いたことがある。
まあ、これから僕の父親は僕が選ぶ。
果歩は大きな黒目がちな少し下がった瞳が特徴で、化粧っ気がなく、ストレートな黒髪の短めなボブスタイルで、仕事の時はパチンと長い前髪を頭の上で留めつけている。
細くて小さな小動物系でも、仕事には熱心で、後輩などの面倒見がよく、細やかな心配りが案外頼りになるらしく、今回、20代後半で主任に出世はかなり、異例らしい。
そんな果歩なので、年下の男からかなり年上の男にまで案外モテる女なんだが果歩は僕に夢中だし、今ひとつ僕の気にいる男には出会えていない。って感じだろうか?
果歩にその気がないなら
このまま2人きりの家族でもちっとも構わない。
僕が早く大人になって果歩を守れるようになればいい。とも思う。
「加藤さん、ありがとうございました。おやすみなさい。」と僕が真面目な声を出すと、
「あいかわらず、誠太郎君は僕を警戒してるんだな。」
と呟く加藤に
キッチリ頭を下げて果歩の手を引き、玄関に入ろうとすると、
「おやすみなさい。加藤先生。」
と果歩が振り返って笑顔で手を振る。
こら、果歩、誰にでも愛想を振りまくんじゃない。と心の中で呟くが、
加藤は満面の笑みを浮かべ、嬉しそうに手を振り返し、
「果歩さん、また、明日」と言ってタクシーに乗り込んだ。
この4月から小学校に通うことになっている。
僕を抱きしめたまま、髪を撫でている酔っ払いのオンナは僕の母親。
柏木 果歩28歳。小児科看護師。
今月いっぱいで東野記念病院小児科病棟勤務からこの4月に小児科外来に異動になる。
僕が保育園から小学校に上がるため、病院に併設している夜間保育園が使えなくなり、
シングルマザーの果歩は夜勤のない外来に異動となった。
ヨウコさんが夜勤の時に泊まっていい。とは言ってくれたが、
ここは僕たちの住む病院に近いマンションから車で30分以上かかるため、
平日にも夜勤はあるので僕の初めての小学校生活に負担になるからと
今回の異動で外来主任看護師に出世して、ちょっぴり基本給が上がるし、
公立の小学校は保育園の料金より随分と安くなるから…
給料が少し減っても大丈夫。と果歩は微笑んで外来勤務を希望した。
大きくなったセイちゃんに感謝。とガッツポーズを作った。
あいかわらず、根性だけはある。
今のセイちゃんとは今しか会えないから沢山一緒にいたいんだ。と大きな笑顔で俺を抱きしめる果歩。
僕の大切なたった1人の家族。
いや、最初は結婚せずにひとりで子どもを育てる事に反対だった
タケルさんとヨウコさん(果歩の両親)も今では僕に大甘な僕の大切な家族だ。
僕の父親は俺が生まれる前に死んだ。と果歩に教えられているけど、
本当は僕の父親に「捨てられた」という事を親戚のオバサンが声高に話しているのを聞いたことがある。
まあ、これから僕の父親は僕が選ぶ。
果歩は大きな黒目がちな少し下がった瞳が特徴で、化粧っ気がなく、ストレートな黒髪の短めなボブスタイルで、仕事の時はパチンと長い前髪を頭の上で留めつけている。
細くて小さな小動物系でも、仕事には熱心で、後輩などの面倒見がよく、細やかな心配りが案外頼りになるらしく、今回、20代後半で主任に出世はかなり、異例らしい。
そんな果歩なので、年下の男からかなり年上の男にまで案外モテる女なんだが果歩は僕に夢中だし、今ひとつ僕の気にいる男には出会えていない。って感じだろうか?
果歩にその気がないなら
このまま2人きりの家族でもちっとも構わない。
僕が早く大人になって果歩を守れるようになればいい。とも思う。
「加藤さん、ありがとうございました。おやすみなさい。」と僕が真面目な声を出すと、
「あいかわらず、誠太郎君は僕を警戒してるんだな。」
と呟く加藤に
キッチリ頭を下げて果歩の手を引き、玄関に入ろうとすると、
「おやすみなさい。加藤先生。」
と果歩が振り返って笑顔で手を振る。
こら、果歩、誰にでも愛想を振りまくんじゃない。と心の中で呟くが、
加藤は満面の笑みを浮かべ、嬉しそうに手を振り返し、
「果歩さん、また、明日」と言ってタクシーに乗り込んだ。