誓いのキスを何度でも
翌週、私は気づいていなかったけど…

更に翌週の木曜日。
外来診療が終わって夕方、小児科外来の中の処置室でパソコンに向かって翌日の予約患者のカルテの確認していると、

「果歩さん!常盤先生と付き合ってるって本当?!
駐車場で抱き合ってたって噂になってるけど…!?」

と小児科医の加藤先生がバタバタと足音を立ててやってきて、職員専用の中廊下から私を見つけて足を止めた。
急いで来たのか息が切れているみたいだ。

「先生、カンファレンスは?」と落ち着いた声を出すと、

「今、終わったところ。ねえ、どうなの?」

「お食事に誘われましたけど…先生には関係ないんじゃないですか?」

「か、関係なんて言わないでくださいよ。ぼ、僕だって食事に誘いたいです!」

「…何言ってるんですか?ちゃんと仕事をしてください。
先生には子持ちのオンナをからかってる暇はないはずですよ」

「そう言って直ぐにはぐらかす!
僕の気持ちに気づいているはずなのになんで相手にしてくれないんですか?!」

と興奮した加藤先生は私に近づいてくる。
困る!
こんなところで医師と揉めるわけにはいかない。

座ったままだと逃げられないと椅子から立ち上がろうとすると、
突然、加藤先生の動きが止まった。
誰かが後ろから腕を掴んだみたいだ。

「果歩、俺がいない間にどうなってんだ?」

と背後から加藤先生の腕をひねり上げて顔を出したのは

?!

桜庭 誠一だ。

ありえない。













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