誓いのキスを何度でも

「な！なんであなたがこんなところにいるんですか！？」

「助けてやったのにその言い草はないだろ」

イテテと言った加藤先生の腕を桜庭はパッと離した。
加藤先生は突然現れた背の高いスーツ姿の明らかな年上の男に目を白黒させながら

「この乱暴な人は果歩さんの知り合いですか！？」

「…知り合いっていうか…」

「ああ、紹介してくれないなら自己紹介しておく。
桜庭 誠一。35歳。外科医。果歩が昔勤めていた病院に俺もいた。
7年前。恋人だった。
留学しなければならなくなって
迎えに行くって約束したのに果歩は逃げた。
それも、他の男と結婚したった思わせて。
ひでーだろ。」

ば、馬鹿なの？
なんでペラペラしゃべっちゃうの？

「そんな昔の事を持ち出さないで！」と私が怒鳴ると

「え？7年前の恋人？それって…」加藤先生が呟くように言う。

「シー！！」と私が指を立てると、


「へえ。俺にまだ隠してることがあるんだ。」と私の顔をしかめ面しい顔で見つめる。



「桜庭ー。勝手にあちこち歩かないでよ。
なに？果歩ちゃんと知り合い？」

と呑気な声がして内科医の東野 桜子（ひがしの さくらこ。42歳）先生が桜庭を探しにきたみたいだ。
桜子先生はここの病院の院長のお嬢さんだ。
いずれ、この病院を継ぐことになっている。

「先輩。俺ここでしばらく働こうかな」と桜子先生に桜庭がとんでもない事を言い出した。

先輩？学生時代の？

「へー。私は腕の良い外科医は歓迎だけど、院長に面接してよ。
本当に桜庭の家をでてきちゃったんだ。」


桜庭の家を出た？なんで？

それより、歓迎しないで。


「桜子先生！雇わないでください！！」

「あれえ、果歩ちゃんは反対？」

「絶対嫌です！！」

「果歩、おまえまだ俺から逃げるつもりか？」