誓いのキスを何度でも
桜子さんは私と桜庭の顔を交互に見て

「…さっき久しぶりに会ってさあ…桜庭の顔って…ものすごく既視感があったんだよねえ」と桜子先生が脱力する。

「既視感って…先輩なに言ってんですか？
7年も留学してたらすっかり忘れられて、見たことがあるって程度に思い出したってことですか？」

「先生！言わないで！！」

「果歩ちゃん、こいつは何にも知らないの？」

私は激しくうなづくけど

「果歩ちゃん、無理だよ。
見たらだれでもわかる。」

やめて！

「果歩ちゃんには子どもがいるんだ。」

「それは…ついこの間、果歩の教育係だった先輩に無理やり聞いた。
おまけに、果歩はだれとも結婚してないみたいだって聞いて…
俺はちゃんとその子どもごと愛する事が出来るって、そう思ってる。」

「おまえはアホ？
子どもは6歳。名前は誠太郎。
よく似たアホヅラが目の前にいるってさっき気づいた。」

「…？？」

アホヅラ。
がものすごく驚いた顔をする。

「…果歩？…」言葉が続かないみたいだ。

私がジリジリ後ろに下がろうとすると、

「果歩、動くな。
俺は今ものすごく混乱している。
が…
動かないでちょっと待て。」と額に手を当て目を閉じている。

…絶対修羅場になる。

私は震える足を踏ん張ってしっかり立つ。


誠太郎は誰にも渡さない。

絶対。


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