誓いのキスを何度でも
「ヨウコさん、ただいまー。お留守番ありがとう」

と果歩は機嫌の良い声で実家の玄関でヒールを転がし、僕に支えられながらヨロヨロと廊下を歩いて、リビングに入る。

「まあまあ、酔ってるの?セイちゃん起きて待ってたのよ。お風呂は?」とヨウコさんがキッチンから声をかける。

「酔いが覚めたら、はいるー」と3人掛けのソファーに転がるので、僕が冷蔵庫から水を取り出し、ぺットボトルを渡すと、

「気がきくねえ。さすが、私の騎士(ナイト)。」と抱き寄せてまた頬にキスをするので、

「酔っ払い」と、呆れた声を出すと、

「ごめん、ごめん。」と水をゴクゴク飲んでソファーですぐに寝息をたてた。


「あいかわらず、お酒に弱いんだから…」とヨウコさんが僕に笑いかけ、果歩に布団をかけている。


きっと、このまま、朝まで寝てるんだろう。

朝イチで起こして、風呂に入れて出勤させなければ。

自分用に用意されたスマホで目覚ましをかける。

これは、今年の1月に小学校の入学祝いにタケルさん(祖父)にもらったもの。
まあ、いつもは母子家庭で2人で生活しているので、必需品。

買うまでは果歩は『スマホなんてまだ早い。』って反対したけど、ゲームはしないと約束して、やっと許してもらえたスマホだ。

今では果歩と俺は1日に何回か、メッセージをやりとりし、便利につかっている。

だから、便利だって、言ったのに…
果歩は案外頑固で困る。
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