誓いのキスを何度でも
「果歩、洗面所の電球1個切れてるけど、電球ある?」と誠一が洗面所から戻って私の顔を覗く。

そうだった。ここ数日鏡の上の2個ある電球の1個が切れたままだった。

「また、買うの忘れてた。帰ると思い出すんだけどなぁ。すぐ手が届くところじゃないから…電球のワット数とか調べるの面倒くさくて」と私が笑うと、

「おかーさんはすぐ忘れるから…」と誠太郎が顔をしかめ、
冷蔵庫に貼ってある買う物メモに『でんきゅう』と書き入れた。

「後で俺が買ってきて取り付けるよ。踏み台とかいらないし…」

誠一は、俺って役に立ちそうでしょ。と得意げな顔をする。

その顔はやっぱり誠太郎の得意げな顔と似ている。と少しおかしくなる。

「俺も行くー」と少し興奮気味の誠太郎が言う。


「だめだめ。明日も学校あるんだから…ピザを頼んだらお風呂に入りなさい。」と私が言うと、

「えー!」と抗議の声をあげながら、ピザのメニューを持ってきてどれがいい?と誠一に聞いている。

「ふたりに会えて嬉しいから俺が奢るよ。どれでも好きなの選びな。」

とダイニングテーブルでふたりでくっついてメニューを選んでいる。

「ねえ、ポテトも頼んでいい?」と誠太郎がメニューを真剣に見つめる。


その様子を愛しそうに見つめ、

誠一は自然に誠太郎を腕の中に入れる。

誠太郎は気にせず、誠一の腕に手を置いているみたいだったけど、

急に気がついたのか恥ずかしそうに立ち上がってメニューを持って私の前に立ち、

「ピザはねえ、やっぱり明太子とバーベキューチキンのヤツでぇ、ナゲットとポテトも頼むー。でね、お風呂に入る!」

といったので、パジャマを用意をさせながら、誠一にとりあえずインスタントコーヒーを出し、 ピザを頼み、浴室の準備をした。


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