誓いのキスを何度でも
私が寝室で短パンにTシャツに着替えてくると

「え?いつも部屋でそのかっこう?」と誠一は私の格好から目を逸らして顔を赤くする。

…中学生か?

「違います。誠太郎のお風呂手伝うの。一緒に入る時もあるけど、週末かな。
髪とか背中とかまだ、キチンと洗えてるか心配だから…」

「俺が一緒に入りたい!」

「馬鹿ね。着替えがないでしょ」
とあっさり私が言うと、ものすごくがっかりした顔を、するので、少しかわいそうになり、

「…これから…まだ、チャンスはいくらでもあるでしょ?」と言うと

「…次に来るときは着替え持ってこようっと」とすぐに笑顔になるので、

「今日は特別」と笑うと、ちぇと顔をしかめた。

そんなに何度も来られたら困るって。
誠太郎はやたらとテンションが高いし、
私はドキドキするし。

「セイちゃん。お風呂用意できたよー。」と私の目を盗んでポケットゲームをしていた誠太郎に声をかけると、

「はーい」とめんどくさそうに服を脱ぎながら浴室に向かう。

「セイちゃん、宿題終わってるの?」

「音読(おんどく)だけ、まだ。」

「ピザ食べたらすぐに歯を磨いて音読ね。後は明日の用意。」

「やだよ。てれび、見たいもん」

「じゃ、何で先にやっておかないのよ。」と言い合いながら浴室に入り、あっと気づいて


「誠一、ピザ来たらお願い」とカウンターの上に用意したお金を指差すと、ニヤニヤしながら


「果歩、もう、誠一って呼んだら?
ピザは奢るって言ったろ。
それにお母さんの果歩もすごくいい。
…俺も家族に混ざりたい。」と言ったので、

「今日は特別!」と赤くなりながら顔をしかめた。
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