誓いのキスを何度でも
誠太郎は湯船に沈むといつものように30まで数を数えだす。

その時、ピンポンとチャイムが鳴り、ピザが届いた気配に誠太郎の数を数える声が早くなる。

「誠太郎、ゆっくり数えろよ。」と誠一の声が洗面所から聞こえると、

「じゅうはちー、じゃううーーくーー」と顔をしかめてゆっくり数え出す。

遠ざかるクスクスと笑う誠一の声は楽しそうだ。

誠太郎は30まで数え終わると、ザバッと勢いよく湯船からとびだし、

『ピザー!』と言いながら、バスタオルで身体を拭くのもそこそこにリビングに飛び出した。

「セイちゃん!髪を拭いて!」と私がバスタオルを持って追いかけると、

「髪は俺が拭くから、果歩は着替えておいで」

と言ってくれたので、誠一にバスタオルを渡し、
ジーンズとトレーナーに着替えてリビングに入ると、テーブルの上にピザやポテトが広げられ、ふたりで用意したのか、いつも使う取り皿やフォークも用意してあった。


冷蔵庫に作っていた麦茶で乾杯し、
いただきます。と3人で手を合わせて食事をはじめた。

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