誓いのキスを何度でも
「美味いね。誠太郎。果歩、料理上手いじゃん。」と誠一が言ったので、

「え?焼きそばだから、みんなおんなじに作れるよ」と私が言うと、

「そう、普通だよ。果歩のご飯たまに美味しくない時もあるもん」と誠太郎が言って、私がプッと頬を膨らませると、

「そういう顔を見ると、昔と同じで可愛いな」と誠一が私の頭をポンポンと撫でるので、

「ラブラブう」と誠太郎が私達をからかうと、

「俺もそう思う。」と誠一は誠太郎に笑いかける。

なぜ、のろけている?

私が呆れた顔を作ると、

「オレ達の為だけに作られた飯は美味いよ。果歩」と誠一はもう一度私の顔を覗く。

君の舌は単純だな。
と思いながら

あまり料理は上手じゃないと自覚しているので
何を作っても美味しいと言ってくれそうで
少しホッとしている自分が居た。


誠一は焼きそばを誠太郎と競争するように平らげ、私に半ば呆れられたりし、
食後に一緒にインスタントコーヒーを飲んでいると、

「コーヒーはドリップのヤツが好きかな。
今度持ってきていい?俺が淹れるよ」と言うので、

「好きにして」

「うん。ありがとう」

「なに?」

「来ないでって言われなくて嬉しい。」

「…来ないでって言ったら、来ないの?」

「いいや。いいって言われるまで通う。」

「…」

「俺がいたい場所は果歩と誠太郎がいる場所だけだ。」

と呟くように言って黙りこみ、誠太郎がアニメを見ているのを見つめている。


そのセリフも

見せる笑顔も

昔と同じように

今の私の心を揺さぶるのにも十分だよ。

と少しため息をついた。







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