誓いのキスを何度でも
誠太郎はコーチに声をかけられ、低学年の子供たちと、グラウンドを走り、ストレッチを始めている。

初めての体験で見よう見まね。って感じだけど、

緊張しながらも楽しそうに混ざっているようだ。


私はチームの係の上級生のお母さんに声をかけられ、

チームの活動の印刷されたプリントや、入会届けを渡される。

緊張しながら受け答えをしていると、

「最初は気軽に参加してみて。
ここのクラブはコーチが熱心でだから、
親も大変だけど、楽しいわよ。」と言われ、誠太郎がやりたいと言ったら、参加させたいと、連絡先を交換した。

しばらく個人的に連絡をもらえる予定だけど、

そのうちグループの連絡メッセージアプリを使って連絡がくることになるらしい。


「来週は低学年の子達は午前中だけ。10時にここに集合です。」と言われ、よろしくお願いします。と頭を下げ、

他の見学のお母さんに混じって誠太郎の様子を見守る。

誠太郎は時折、離れて立っている私達にそれぞれ手を振って合図する。


「ご主人、いつもいらっしゃるの?」と隣に立った低学年の入会したばかりだと言うお母さんに聞かれ、

…ご主人…ではないけど…

「週末が必ず休みというわけではないので…」と言うと、


「うちなんか、休みで家にいてもなかなか来ないのよ。」

「そうですか。でも、ご主人もお休みしたいですよね」

とか小声で話したりして、見学し、

1時間半程で、誠太郎の体験見学は終了し、

嬉しそうに私に飛びついて来た誠太郎をよろけながら迎え、

ニコニコとやってきた誠一と手を繋いで、また車に戻った。


うーん。

絶対親子に見られてるよねえ。

皆さんに夫婦じゃありませんし、戸籍上は父親ではありません。生物学的には父親ですけど…

とか…

言ったりしたくないなあ…


と思いながら
誠太郎のシートベルトを締め、アッサリ運転席に座った誠一。
の助手席に収まった。





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