誓いのキスを何度でも
スーツに着替えて戻ってきた誠一は
かなり大人の雰囲気で少しだけ近寄りがたい。
「…着替えて来たんだね」
「ご両親に初めてのご挨拶だからね。
会う前から印象は悪いだろうから、格好だけでもつけないと…」と照れたように笑い、私を腕の中に入れる。
「…私は、誠一とやり直すって決心がついていないの…」と誠一の顔を見上げると、
「分かってるよ。でも…果歩はここにいる。
今は、それだけで十分。
俺はとても、幸せだ。」
微笑む誠一の腕を抜け出て、
「行きましょうか?」とバッグを持つ。
「運転するよ。果歩の実家までの道も覚えたいし、
カーナビ設定してある?」
「ううん」
「カーナビの設定出来ないんだろ」
「…」
「だと思った。あいかわらず、機械音痴だな。
昔もカラオケの機械に手こずってただろ。
まちがった曲を入れてもどうやって消したらいいかわからなくって
そのまま曲を流して終わるの待ってたし…
誠太郎のサッカーで知らないグラウンドに行くこともあるんだろうから
教えとくよ。とりあえず、実家の電話番号教えて。それでも設定できるから…」
「…はい」
というと、ポンポンと頭に手を乗せて微笑んでから、私の手を取り、玄関に向かう。
ドアの前で立ち止まり、
「窓閉め、よし。ガスは?電気を消して…」と言って笑いながら私の瞳を覗き込む。
「もう、面白がってる…慌てると、忘れちゃうんだもん」
と我ながら子どもっぽい言い訳だと恥ずかしくなって俯くと、
「幸せな習慣だな。一緒に確認する相手がいる」
と穏やかな笑顔を見せてドアを開け、私の手を引いて、階段を降りた。
かなり大人の雰囲気で少しだけ近寄りがたい。
「…着替えて来たんだね」
「ご両親に初めてのご挨拶だからね。
会う前から印象は悪いだろうから、格好だけでもつけないと…」と照れたように笑い、私を腕の中に入れる。
「…私は、誠一とやり直すって決心がついていないの…」と誠一の顔を見上げると、
「分かってるよ。でも…果歩はここにいる。
今は、それだけで十分。
俺はとても、幸せだ。」
微笑む誠一の腕を抜け出て、
「行きましょうか?」とバッグを持つ。
「運転するよ。果歩の実家までの道も覚えたいし、
カーナビ設定してある?」
「ううん」
「カーナビの設定出来ないんだろ」
「…」
「だと思った。あいかわらず、機械音痴だな。
昔もカラオケの機械に手こずってただろ。
まちがった曲を入れてもどうやって消したらいいかわからなくって
そのまま曲を流して終わるの待ってたし…
誠太郎のサッカーで知らないグラウンドに行くこともあるんだろうから
教えとくよ。とりあえず、実家の電話番号教えて。それでも設定できるから…」
「…はい」
というと、ポンポンと頭に手を乗せて微笑んでから、私の手を取り、玄関に向かう。
ドアの前で立ち止まり、
「窓閉め、よし。ガスは?電気を消して…」と言って笑いながら私の瞳を覗き込む。
「もう、面白がってる…慌てると、忘れちゃうんだもん」
と我ながら子どもっぽい言い訳だと恥ずかしくなって俯くと、
「幸せな習慣だな。一緒に確認する相手がいる」
と穏やかな笑顔を見せてドアを開け、私の手を引いて、階段を降りた。