誓いのキスを何度でも

両親が並んで座ったリビングのソファーセット前に並んで座って

「ご挨拶が…遅くなって申し訳ありません。
桜庭 誠一と申します。
7年前、果歩さんとお付き合いをさせていただいていました」と誠一が頭を下げる。

「君は留学していて、果歩の妊娠も出産も知らなかったというのは本当か？
なぜ、今更一緒にいようと思ったんだ？
果歩を捨てたのなら、放って置いてくれ。
今まで、私達は誠太郎を一緒に育てて来たんだ。」と父は怒りが隠しきれない様子で話す。

「僕は果歩さんを捨てた事はありません。
…僕の父は…果歩さんと僕が務めていた、桜庭総合病院や他にもいくつかの医療施設を経営しています。僕はその家を継ぐよう言われてずっと育ってきました。
果歩さんとの出会いは僕にとって、…なにより
大切な出会いだったのですが…僕の両親にとっては…予定外でした。
家の事業に都合の良い結婚を望まれていたからです。
まだ、28歳だった僕は医師としては未熟で…
果歩さんと引き離すための留学を強引に決められ、
必ず、迎えにいくと果歩さんに約束して…
僕は果歩さんから離れました。
実際は半年後、留学先に果歩さんを迎えるための準備をして戻ったのですが…
…果歩さんは他の人と結婚すると退職して、…既にいなくなった後でした。」

「果歩さんはきっと、妊娠がわかった時、あの病院にいたのでは、お腹の子どもが守れないと思ったのだと思います。
…それを知らずに僕は…
なぜ、たった半年が待てなかったのかと、
他の場所に移っても、連絡もくれないのは…もう、終わりにしたいと思った果歩さんの意思なのだと
そう思って、果歩さんを諦めようと思っていました。」