誓いのキスを何度でも
総合病院は夏休みで病院が休みになることはないので、
職員は3ヶ月くらいの間に夏休みを数日順番にとる。ってことになっている。
子どもを持つ看護師が多い外来は結構8月に休みをとるのが大変で、
他の夏休みとしての休暇を9月のシルバーウイークに取ると僕に約束し、
その日じゃないと見ることができない流星群がやってくる日に
なんとか休みを取らせてもらえることに成功した。と言っていた。
もちろん、8月は他に休みはない。

「トキちゃん!獅子座の流星群が来るんでしょ!」

「そう。今から楽しみだね。
途中でバーベキューして、暗くなるころ、天文台の近くの秘密の場所に行って流星群を待とう。そこは、星が綺麗に見えるスポットなんだ。
車の中でも、テントでも眠れるようにするから
ゆっくり見よう。」

「え、あの…
翌日仕事なんだけど…」

「…果歩。
夜に天体観測なんだから、普通泊まるでしよ。誠太郎は夏休みなんだし…」

「おかーさん!!」と大声を出すと、

「ご、ごめんなさい」と果歩は頭を下げて小さくなっている。

やれやれ。
とトキちゃんは呆れた溜息を吐き、

「僕が、2日間休みを取って。と言わなかったのも悪かったな。
大丈夫。
誠太郎が眠くなったら、帰る事にしよう。
3時間くらいで帰ってこれるよ。
果歩は寝不足で仕事をして。」とトキちゃんは笑顔を見せるけど、

「果歩のバカ。眠くなんてならないから帰らないよ!」

と僕が怒ると、

「本当にごめん!」と果歩が僕に手を合わせて、謝った。
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