誓いのキスを何度でも
遅いお昼ご飯にハンバーガーをみんなで食べ、その後はのんびりした乗り物に4人で乗り、キャラクター達と写真撮ったりして過ごした。

サクちゃんとトキちゃんは特に喧嘩もぜずに楽しそうに僕の隣の席に順番に座ったり、果歩とも楽しげに顔を寄せて話したり、笑い合ったりした。

パレードと花火を見て、車に戻る。

サクちゃんは電車で来ていたみたいで、 トキちゃんの車に一緒に乗り込んだ。

「なんで車で来てないんだ?」

「1人で帰るの寂しいだろ。俺、今車使ってないし…。トキちゃん、後ろで大人しくしてるから連れて帰って。」と笑った顔でシートベルトを締めている。

「おまえはトキちゃんって呼ぶな。
気持ち悪い…」とトキちゃんはぶつぶつ言いながらエンジンをかける。

「じゃあ、果歩みたいにシンさん?」

「うるさい。黙って乗ってろ」とトキちゃんは笑いを堪えた声だ。
きっとライバルなんて言ってるけど、仲良しなんだな。
とどっちも好きになっている僕はホッとしながら、ウトウトする。

サクちゃんの寝息がすでに聴こえる。

「…桜庭、もう寝たのか?
プライベートは全く緊張感の感じられないヤツだな。
仕事の時は近寄りがたい雰囲気なんだがな」とトキちゃんの声がする。

「そう?いつ会っても楽しそうに見えるけど…」

「そんな風に見えるのは果歩だけだよ。
…あいかわらず、果歩は鈍いな。
果歩に会えると嬉しいから、そう見えるんだろう。
…桜庭の滅多に見せない笑顔がナース達に人気だって知らないんだな。」とトキちゃんの呆れてクスクス笑う声が僕の耳に残った。



< 74 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop