誓いのキスを何度でも
暖かい鳥肉と卵とネギのうどんをつくって、
誠太郎を起こすと、

「おかえりー。いい子にしてたよ」と私に抱きついてくる。

「少し、熱が下がったかな?おうどんたべる?」と体温計で熱を測る。

38度ちょうど。まだ熱はあるけれど、子どもは案外熱に強くて元気だ。

「たべる!サクちゃんも一緒に食べる?」と横になったままの誠一に聞いている。

「うん。いい匂いで目が覚めた。いっぱい食べて元気になろうな」と誠一は誠太郎の頭を撫でて、起き上がる。

「今日はありがとう。小学生は病児保育がないの。助かりました」と私が誠一に言うと、

「いいよ。いつでも手伝いたい。…尾崎家より当てにして欲しい。」

「えー、サクちゃん、料理できないじゃん。
ナナコちゃんのご飯はすごく美味しいんだよ。」

「そうか?ハンバーガーとかじゃだめ?」

「ハンバーガー?!行く行く。」と嬉しそうに誠一と手を繋ぐ。

「…元気になったらね。今日はおうどんです!」と私が少し笑った声を出すと、

「誠太郎が元気になったら、行こうな」

と誠一は約束し、
誠太郎の隣のダイニングテーブルのイスに座って、 いただきます。と誠太郎と手を合わせてからうどんを美味しそうに啜った。


最近の誠一の定位置。

誠一は私達の生活に自然に入ってくる。

私は複雑な思いでふたりの顔を見ながら、誠一とお揃いのドンブリでうどんをたべはじめた。

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