誓いのキスを何度でも
今日は誠太郎はお風呂はやめて身体を拭き、汗をかいたパジャマや、シーツを取り替え、歯を磨かせる。

具合が悪い時の誠太郎は甘えん坊だ。
いつも、手がかからないと思っているけど、
本当はきっともっと甘えたい気持ちを押さえている部分もあるのだと思う。

病気になれば、私が仕事や家事をほとんどせずにずっとそばにいる。と安心するようで、ぎゅーと抱きついたり、一緒の布団で寝たいといったりする。
それはそれで私も嬉しい。
まだまだ、子どもなのだと、私の手が必要なのだと安心し、誠太郎を甘やかす。


誠一がドアの鍵をそうっと開けた時、誠太郎を布団の中で寝かしつけている時だった。

「誠太郎、果歩と一緒の布団で寝るんだ」とさっきまで自分と寝ていたのに…とヤキモチを妬く誠一が可笑しい。

誠太郎は2つ並べた布団の私の布団に潜りこんでいる。

誠一はシャワーを浴びてきたようで、ボディソープらしい匂いをさせて、隣に敷かれた誠太郎の布団にゴロンと横になって誠太郎の髪をくしゃくしゃと撫でる。

誠太郎は照れ臭いのか私にしがみついて目を固く閉じている。
私が誠太郎の頬を撫でると、私の手を握りしめて時折、咳をしながらウトウトしだす。

誠太郎が咳をする度、誠一はヨシヨシと小声で言って髪を撫でているけど、誠太郎が寝息をたて出すと、そうっと私の髪をもてあそんでいるようだ。

「果歩の髪、柔らかいな…昔と変わらない」と呟く誠一の瞳を見つめると、

「果歩。好きだよ」と私の前髪を搔きあげる。

「…触っちゃダメです。
…誠太郎を見ていてもらっていいですか?
家事を片付けて、シャワーを浴びてきます」

と私の額から誠一の手をどかし、誠太郎の腕を外して上向きに寝かせて起き上がる。

「おまかせください」と誠一は誠太郎を抱き寄せた。





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