誓いのキスを何度でも
8月の20日。

朝早くシンさんが迎えにくる。
流星群がやってくる日。

シンさんカジュアルな格好で、私達に色違いのキャップを被せ、

「仲の良い家族みたいでしょ」

と微笑んでから誠太郎を車に乗せた。



「おはよう。いい天気でよかったね。」とシンさんが車を運転しながら微笑む。

「何時から流れ星が見えるの?」と誠太郎が助手席で嬉しそうに聞いている。

「夜9時には流れ出すと思うよ。お願い事は決めた?」

「サッカーが上手くなりますように。とお、後はナイショ。」と誠太郎が赤くなって笑う。

「好きな女の子でもできた?」とシンさんが笑う。

「えー?でも、ナイショだもん。」

「私は初耳ですけど…」と私が言うと、

「果歩、誠太郎は大きくなってるな。果歩にナイショでそのうち、デートにいっちゃうかもね。」

「やめてください。まだ、小学校1年なんだから…」

「誠太郎はすぐに大きくなるよ。
マザコンは嫌われるぞ。果歩」とシンさんは楽しそうに笑っている。

「ねえ、トキちゃん、流れ星にお願い事っていくつもしちゃダメかなあ?」

「どうかな?
沢山、星は流れるけど。
どの星にもひとつのお願いをしたら、
どれかの星が叶えてくれるかもしれないね。」

とシンさんがいうと、誠太郎はうーむと考え、じゃあ、サッカーの事をお願いする。と決めたようで、私は少し安心してしまう。

バックミラー越しにシンさんと目が合い、くすんと笑われる。

私は少し赤くなって窓の外を慌てて眺めた。

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