誓いのキスを何度でも
「トキちゃん!星が流れた!」と誠太郎が私達を呼ぶ。

私達は誠太郎を真ん中にそれぞれ毛布にくるまって夜空を見上げた。

夜空を見つめていると、いくつも流れ星が尾を引いて流れ、消えてゆく。

「綺麗」とわたしが思わず声を出す。

「トキちゃん、すごいね!」

「まだまだ、流れるよ。
お願い事を言わないと…」

「サッカーがうまく…あ、消えた!」

「誠太郎くん、もっと素早く言わないとダメかもしれないね。」

「トキちゃんもお願いしてる?」

「僕は今は何もお願いがないかな…
今、ここで誠太郎くんと果歩と一緒に星を眺められてとても嬉しい。
誠太郎くん、人と人との出会いは奇跡みたいなもので、ここでこうしていられることも、多分奇跡のような事なんだと思う。
…今は、…誠太郎君には
わからないかもしれないけど…
今までに僕は君達に沢山の事をもらってる。
とても幸せなんだ。
だから、もう、お願いごとはいいや」

とシンさんの柔らかい声が聞こえるけれど、どんな顔をしているのかはわからない。

「あ、誠太郎くん、また流れ星だよ」

とシンさんが言うと、誠太郎はまた一生懸命『サッカーがうまくなりたい』と最後まで言おうと何度も挑戦していた。






< 91 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop