誓いのキスを何度でも
門の前に明かりを落とした私の軽自動車が停められているのが見える。
…門に貼りつく誠一の姿。

「…うん。カッコ悪い」とシンさんは満足そうに呟いてクスクス笑う。

私の車は誠一が私が留守にする間貸しておいてと言われてキーを貸していたのだ。

シンさんが車から降りて、お友達に電話をかけると、門の電子鍵が開いた。

誠一がシンさんに近づき、

「連絡ありがとうございました。…ふたりを連れて帰ります。」

と頭を下げ、車の後部座席から誠太郎を抱き上げ、

「果歩、おいで」と誠一は私に微笑みかける。

髪が乱れて、肩で息をしている。

私が車からゆっくり降りると、シンさんがそっと抱きしめ、頬にキスをする。私はシンさんの胸に顔を埋める。

「じゃあね果歩。
また、再来週。
誠太郎とアニメ映画をみる約束してるんだ。
果歩もくる?」

「はい」と私が頷くとシンさんは私から離れ、

「桜庭くん。そういう事だから、再来週はまだ僕の週って事で…」

「へえ。」

「僕は10月に関連病院に異動が決まっているんだけど…でも急に離れたら誠太郎君が驚くだろう」

「ふむ」

「誠太郎はシンさんが好きよ」

「果歩まで、常盤先生の味方かよ」

「そうよ」と笑うと、

「…わかりました。誠太郎をよろしくお願いします。」

と誠一は不機嫌な顔で了承し、私をぎゅっと抱き寄せてから軽の助手席に乗せた。



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